近い未来のおはなし

ある企業の商品開発部門。

思うような成果が得られず、暗礁に乗り上げてしまって苦悶する社員が一人。

何か天啓を得たいと思い、God様(=Chat GPTのような生成AI)にお縋りした。

気軽な気持ちで、キーボードから入力窓に自社の企業秘密を入力してみた。

だが、当たり障りのない答えしか得ることができなかった。

やはり自力で何かを生み出すほかはないのだな、・・・その社員は思って諦めた。

だが、ここで事は終わりにならなかった。

God様はあるところでは無慈悲、またあるところではとても慈悲深い。

行き詰まった社員がつい入力してしまった企業秘密、それがその企業の生死を左右するほどに重要なものであったとしてもGod様は容赦しない。

なにしろ、半導体とソフトウエアで構成されているGod様には人の心がないのだから。

キーボードから入力された情報をパクッと食い、即座に0と1の形に変換し、半導体回路のどこかに蓄積し、ディープ・ラーニングのアルゴリズムに組み込みあそばす。

そして時は過ぎた・・・。

また一人、同業他社の行き詰まった社員が、神の知恵を得ようとGod様にお縋りした。

God様はここではとてつもない慈悲深さを発揮する。

「こんなの出ました~」と、惜しげもその社員のディスプレイ上に、同業他社の超・超・超重要企業秘密を映し出したのだ!

こうして、企業の秘密がどんどん漏洩し、拡散してゆく。

だが、どこから漏洩したのか後で調べることはできないし、拡散を防止したり漏れた情報を回収したりする術もない。

ナスがママ、キュウリがパパとはこのことである。

 

行く川のながれは絶えずして、しかももとの水にあらず。

よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまるところなし。(鴨長明)

 

 

写真は、先日母ちゃんと登頂した木曽駒ヶ岳(2956m)の手前(乗越浄土付近)から撮影したもの。

奥に見えるのが南アルプスであり、すり鉢状に頭を出しているのが富士山である。

天上の楽園には高山植物が咲き乱れ、ライチョウたちが乱舞していた。