続・ネット詐欺の被害回復が難しい具体的な理由(弁護士による二次被害?)

私は、第二東京弁護士会に所属している。

12月14日、第二東京弁護士会のHPのお知らせ欄に、「国際ロマンス詐欺その他投資詐欺案件の依頼にあたってのご注意」という記事が掲載された。

https://niben.jp/news/ippan/2023/202312143940.html

この記事によると、いわゆる国際ロマンス詐欺を初めとする投資詐欺の被害が急増しているそうである。

国際ロマンス詐欺とは、「SNSやマッチングアプリで知り合った相手と親しくなり、それらしい理由でお金を送金させられたあと、連絡が取れなくなってしまう手口の詐欺」である。

 

上記の記事によると、被害の拡大に伴って、詐欺被害に気づき弁護士に対応を頼んだ被害者による弁護士会への苦情相談も増えているようだ。

代表的な苦情は、①着手金が高すぎる、②事務員が対応するばかりで進展がない、③依頼の解除を求めたが応じて貰えないといったものである。

ボッタくる、事務員に丸投げ、返金しないといった苦情だそうだ。

これが事実であれば、まさに弁護士による二次被害である。

 

だが、一番驚いたのは、この記事の締めくくりの部分の方である。

以下、そのまま引用する。

「国際ロマンス詐欺、その他投資詐欺の被害に遭われ、被害の回復を弁護士に依頼する方は、依頼する予定の弁護士から、事件処理の進め方、被害回復の可能性を含めた見通し、これらを踏まえた着手金・報酬金の妥当性について十分な説明を受けた上で依頼の検討をいただくよう、お願いいたします。」

ザックリ要約すると、次の意味になるだろう。

「詐欺の被害者を食いものにするオオカミ弁護士も増えているよ。弁護士に詐欺の被害回復を頼むとき、オオカミに食われないよう被害者も気をつけてネ!」

 

だが、弁護士会は、詐欺被害者を食いものにするオオカミ弁護士を取り締まるのがそのお役目ではないか。

にもかかわらず、詐欺の被害者を含む弁護士制度の利用者に向けて、「地雷にご注意を!自分でしっかり選んでね!」と締め括るのは余りにも無責任ではないか。

このような記事を公式HPのお知らせ欄に掲載するとき、だれも違和感を抱かなかったのだろうか。

いま、とてもお寒い気持ちになっている。

 

 

 

写真は、しばらく前に撮影した日比谷公園。

もうイチョウの葉も大半が落ちてしまっているのではないだろうか。