統計開始以降でいちばん暑い今年の夏
気象庁は、昨日、日本の夏(6~8月)の平均気温が1898年の統計開始以降でいちばん高かったと発表した。
今日は9月2日だが、9月に入ったとはとても信じられないほどの猛烈な暑さである。
まだミンミンゼミやアブラゼミが幅をきかせ、秋の訪れを予感させてくれるツクツクボウシの声はほとんど聴いていない。
ところで、今日の朝日新聞朝刊1面の「折々のことば」。
大好きな哲学者の鷲田清一さんが、パスカルの言葉を紹介していた(鷲田清一「折々のことば」)
ちなみにパスカルは、アライグマではなく(←それはラスカル)、事務用品の配達事業者(←それはアスクル)でもない。
「人間は考える葦である」という明言を残したフランスの哲学者である。
パスカル曰く、「理性の最後の歩みは、理性を超えるものが無限にあるということを認めることにある。」と。
この言葉、きっとこんな意味だろう。
ホモサピエンスが持っている「知」はたかが知れており、おのずと限界がある。
その限界を正しく自覚し、認識することこそが大切である。
矮小なホモサピエンスは、自らの思い上がりや傲慢さを直視しなければならない。
理性というものは、自らの限界を熟知できる水準にまで辿り着くことができたとき、初めてそこから固有の働きが開始される。
また新たな科学技術の成果が生み出されました!などと思い上がり、大量の資源を浪費しながら、ひたすら目先の便利さを追い求め続ける。
その傲慢な振る舞いに、効果的な歯止めをかける者は現れない。
一刻も早くパスカルが言う「理性の最後の歩み」に至らなければ、ほどなく人類は自滅することになるだろう。
未来の地球の地層から、奇妙な容器に閉じ込められたホモサピエンスの化石が大量に発掘されるに違いない。
異常な夏は、その警告のように思えてしまう。
本日の23時59分が経過した瞬間。
不幸か、不幸か(注:「幸」は一切ない)、私は世に言う”赤いチャンチャンコの日”を迎えてしまうらしい。
そんなリーチ状態のオジジは、恐怖しながら何度もパスカルの言葉を読み返した。
サンダルに履き替え長い通路の向こうにある戸外の直下式便所に行き、強いアンモニア臭に涙を流しながら、裸電球の下でそそくさと用を足した。
そんな不便な時代には、いまと質的に違った幸せや、未来に期待する明るさがあった気がする。