故人の遺言書の探し方

先日知人の方から、「故人の遺言書はどうやって探せば良いのか」というご質問を受けた。

もっともありがちなケースとして、親が亡くなったあと、子供はどんな方法で親の遺言書を探すのかについてご説明したい。

頭に浮かんだ可能性について、箇条書きのように並べてみた(コメントつき)。

 

① 生前の親から遺言書の原本や写しを預かっている者が、親の死亡を知って「私が預かっていますよ」と申し出る場合。

⇒ 見つかったあと、それが自筆証書遺言であれば、家庭裁判所で検認という手続をすることが必要である(以下の②ないし④も同じ)。

私の経験では、その遺言書によって特定の財産を渡したい子供、より多くを渡したい子供などに預けている場合が多い。

 

② 生前に親が重要書類などを保管していた場所(例:書斎の引き出し)から、遺言書の原本や保管場所メモなどが出てくる場合。

⇒ 私の経験では、台所の柱に「寝室の文箱の中に遺言書あり(死後に開け)」というメモが貼り付けられていたことがある。

また、書斎の机上に置かれていた六法全書の間というややこしい場所から見つかったことがある(←見つかりやすい場所に仕舞おうよ!)。

 

③ 生前に親が借りていた銀行の貸金庫の中に保管されている場合。

⇒ 先に銀行で煩雑な手続をし、貸金庫の扉を開く必要がある(開扉に反対する者がいると、扉を開くまでに多大な手間と時間がかかる)。

私の経験では、依頼者が「私に有利な遺言書がある筈だ」と言うので苦労して貸金庫を開扉したところ、空っぽだったことがある。

 

④ 生前に親が遺言書を作り、それを弁護士などに預けている場合。

⇒ 親の死亡をその弁護士が知れば、「私が預かっていますよ」と遺族に申し出る。

ちなみに、私が遺言書をお預かりしている方々には、「ご家族の誰かにきちんと私の連絡先などを伝えておくように」と助言している。

また、年に1~2回、遺言をお預かりしている方々に対し、世間話のような電話や手紙で安否確認を行っている。

 

⑤ 生前に親が信託銀行などと「遺言信託」契約を結んでおり、その銀行に預けている場合。

⇒ 遺言信託契約を結ぶとき、生前の親は、死亡時に信託銀行から通知を送って欲しい子供を信託銀行に届け出ている。

そして親は、銀行の指示で、「私が死亡したら○○信託銀行に連絡せよ」と子供に伝えている。

⇒ 遺言信託で作成される遺言書は、基本的に公正証書遺言であるため、検認手続は必要でない。

 

⑥ 公証人に依頼して「公正証書遺言」を作っており、公証人役場に保管されている場合。

⇒ 親が死亡しても、公証人役場から自動的に通知や連絡が来ることはない。

「もしや筆まめな親は公正証書遺言を作っていたのでは?」と推測し、親の死亡後に問い合わせをすることで存否が分かる。

私の経験では、故人の本棚に「遺言書の本」があったことから、公証人役場に問い合わせたことで遺言書が発見されたことがある。

 

⑦ 「自筆証書遺言書保管制度」を使い、法務局に保管されている場合。

⇒ 自筆証書遺言だが検認は不要。

死亡届とこの制度が紐づいているので、死亡届の提出を受けて法務局から自動的に「遺言書保管しています」と連絡がくる。

比較的新しい制度でありまだ余り知られていなようだが、利用価値の高い制度だと思っている(有料だが安価)。

 

昨日、お借りしている西東京市の市民農園にメロンの苗を植えに行った。

写真は、そのとき撮影した美しい野草(?)。