暗渠道の西浦北向地蔵尊
けさの通勤経路は、久々に大好きな暗渠道を歩いた。
この暗渠道の足下には、かつての田無用水から分水された田柄用水が脈々と流れている。
時間があるときはかなり遠回りをし、暗渠道を辿って事務所へと通勤している。
写真は、暗渠道の脇に鎮座しておられる「西浦北向地蔵尊」である。
ずっと疑問に思っていたのは、なぜ「北向地蔵尊」というお名前なのかということである。
方位磁針で調べてみたら、たしかにこの地蔵様は北向きに安置されている。
わざわざ「北向き」と名付けるからには、そもそも北向きに安置されている地蔵様自体が珍しいのだろうか?
『日本石仏図典』という書籍によると、「北向き」と名付けられた地蔵菩薩について、「尊像が北向きに安置されているということではな」く、「地蔵菩薩の浄土である佉羅陀山は南方にあって、ここに座すお地蔵様は、おのずと北を向くことになるから」との記述があるようだ。
だが、くだんの「西浦北向地蔵尊」はしっかり北向きに安置されているので、この記述は当たらない。
別の説(田野登「北向地蔵考:異名にみる北向信仰」)によると、「北は忌むべき方角である。そのような北向きに安置されている地蔵尊には、格別な霊威がある」とのことである。
この優しいお顔をした地蔵様・・・、たしかにそばを歩くたび、何かに包み込まれたようなありがたい気持ちになる。