のし紙の満中忌志
のし紙の「満中忌志」。
何これ?と母ちゃん。
そうだ、関東にはない風習なんや。関東モンは知らんのよね~。
「中忌」は49日のことで、それが「満」了したという報告と「志」。
つまり49日が終わりましたよという報告を兼ねた香典返し。
ちなみに関東では「志」と書いたヤツをよく見る。
母ちゃんにそう説明した。
チベット密教「死者の書」。とても面白い。何度も読んだ。
人が死ぬと7日ごとに試練が訪れる。
例えば7日目に行う1回目の選択。右の道は畜生道で左の道は人間道。どちらを選ぶか?
その次は2回目。右の道は人間道で左の道は餓鬼道。
こうして7日ごとに7回の選択をすることになる。
7回とも正しく選択したとき。輪廻転生後に再び人間として生まれ変わることができる。
7日×7回=49日。きっと日本仏教の「49日法要」と深い関わりがあるのだろう。
だが改めて思う。7回とも人間道を選ぶことが本当に幸せなのだろうか?
例えば4回目に哺乳類の道を選んでみる。そしてシャチに生まれ変わる。
アザラシを狩りながら大海を自由に泳いで生きてゆく。死んで海に帰る。その方が幸せかもしれない。
そういえばしばらく前までヒグマに生れ変わるプランもあった。
だがドングリは大凶作、食べ物のない山で空腹を抱えるのはイヤだ。
その山でドングリを独り占めにしたいボス熊に虐められ、山を追われて仕方なく里へ降りる。
背に腹は代えられず、人や犬を喰ってライフル銃で撃たれる。それもイヤだな。
人間も熊も生きづらくなったものだ。
いっそのこと、植物に生まれ変わるのが幸せかもしれない。
ただ、イネやバラやウツボカズラは気を遣わせられそうでイヤだ。
やはり野に咲くタンポポかツユクサにしよう!
写真は、苫小牧出張の帰りに立ち寄った白老町のウポポイ(国立アイヌ民族博物館)。
再現されたアイヌ民族のチセの一つ。
平日の早朝で観光客はほぼゼロだった。
長時間にわたり伝承者の方からマンツーマンでお話を伺い、舞踏やムックリ演奏を見せていただいた。
素晴しい時間と空間だった。

