配達日指定郵便について

「配達日指定郵便」

聞いたこともない方が多いかもしれない。

差出人が郵便物の配達日を指定できる郵便局のオプションである。

指定できるのは、原則として「差出日の3日後から起算して10日以内の日」とされている。

これを使うと、誕生日カードやプレゼントが誕生日前に届いてしまうといった間抜けな事態を避けることができる。

また、土曜日や日曜日の配達を実現することもできる。

 

 

弁護士が仕事でこれを使うのは、例えば債権執行などの場面(仮差押えも含む)。

第三債務者(差押えようとしている預貯金のある金融機関など)への処分禁止効は、差押命令などが第三債務者に送達された時点で生じる(民事執行法145条)。

債権者は、債務者の口座に売掛金などが送金されて残高がマックスになっている日を狙い、差押命令を送達させたい。

こんな場面で配達日指定郵便の使い道がある。

 

 

 

ところが、ある時期から、郵便物の配達が不安定になっているし遅配も多い。

以前なら、○○日には着くだろうと思って投函したとき、ほぼ予想どおり○○日に配達されていた。

ところが近ごろは予想が外れ、酷いときには何日も遅れて配達される場合が増えている。

こんな郵便物配達の不安定化が、実は配達日指定郵便にも影響を及ぼしている。

例えば東京地裁が債務者の預金口座のある鹿児島市内の金融機関(第三債務者)に差押命令を送達しようとするとき。

東京から鹿児島への郵便物の輸送が遅れてしまうと、いくら配達日指定郵便のオプションを付けても、配達日に送達されるとは限らない。

 

 

 

 

そうであれば、東京から鹿児島への郵便物の輸送を短縮してやれば良いのではないか?

つまり、「配達日指定郵便+速達」にすれば、配達日を過ぎた配達を防げるのではないかというプランである。

ところがこれがダメなのである。

郵便局で付けることができるオプションには制限がある。

現時点で、「配達日指定郵便」のオプションと「速達」のオプションとを併用することは認められていない。

おそらくは、”先の日の配達を指定するのだから、あえて速達で送る必要はないでしょ”という意味なのであろう。

だがこれは、郵便物の配達が安定していたときに成り立っていた論理。

今や前提が崩れてしまっている

新たなオプションとして、料金が高くなっても良いので、「送達先エリア局まで速達郵便」や「配達日配達完全保証郵便」を創設して貰いたい。