帯状疱疹と診断されて(ほぼ)完治するまで
61歳と10ヶ月、噂に聞く帯状疱疹の洗礼を受けた。
思い起こせば、去年の10月から5月ころまで、前代未聞の忙しさが続いた。
身体の深部に眠っていた水ぼうそうのウィルスが、宿主の疲労を見ていきなり暴れ出したのだろう。
幸いなことに、発疹の出現に気づいた僅か数時間後には、抗ウイルス剤の服用という治療を開始することができた。
患部の痛みも後遺症も全くなく、どんどん完治に向かっている。
テレビは、「50歳以上に帯状疱疹の発症リスクがあるとか」、「ワクチンの接種を勧める」とかと言っていた。
高齢の両親たちには、「ワクチンを接種した方が良い」と勧め、これまでに全員が接種を終えている。
だが私自身は、「あんな病気はもっとジジイが罹るものだ。他人事だ」とたかをくくっていた。
今回発症してみて、自分自身が「もっとジジイ」であったことをようやく認識した。
帯状疱疹は、身体全体にウイルスが増殖してしまうと酷くなり、非常に悪質な神経の後遺症を残すことも多い恐ろしい病である。
これに対して、早く見つけ、早く治療を始めれば、酷くなる前に簡単に治ってしまう。
ネットなどを見ると、「皮膚がピリピリしたときは受診を!」などと書かれているが、きっとそれだけで帯状疱疹を疑う人は稀だろう。
今回このブログでは、帯状疱疹の経験者として、どんなふうに発症し、帯状疱疹だと疑い、早期の治療を開始したのか。
不幸にして帯状疱疹に見舞われた場合、いかに帯状疱疹を疑い、一刻も早く皮膚科を受診するのか?
その参考に供していただくため、帯状疱疹の発症から治療開始までの経過などを記録しておく。
【7月6日午前4時ころ】
トイレに起きた。右腰にある骨盤のグリグリ骨の辺りに違和感があった。指で触れるとボコボコしており、僅かなヒリヒリ感と痛がゆさがあった。あせもの集団だろうと思った。眠かったので寝た。
【午前7時ころ】
目覚めた。早朝に気づいた違和感の部分を覗いて見た。横10cm×縦2cmの狭いエリアが真っ赤に炎症していた。約20個もの気持ちの悪いデキモノが見えた。恐る恐る指で触れると硬さを感じた。デキモノは、何度も経験しているあせもと比べて盛り上がりが大きい気がした。おできが突然20個くらい出現した感じ。先端が少し白っぽいブツブツが3~4個混じっていた。見てくれは、以前に苦しんだチャドクガ皮膚炎にも似ていた。だが今年は酷暑のせいかチャドクガを見ていない。あせもの集団だろうと勝手に判断し、塗り薬(フルコート軟膏)を塗ってカットバン4枚で患部を覆った。
【午前8時ころ】
妻との朝食。ふと思い出し、「右腰に気持ちの悪いブツブツが出現した。昨日まではなかった。少しヒリヒリする。たぶんあせもの集団だろう」と話した。すると妻が「周囲には帯状疱疹の人が多い。治療開始が1日遅れただけで酷い後遺症が残ることがある。あせもなのか、チャドクガなのか、帯状疱疹なのかを素人が判断するのは危険だ。医師に診て貰い、あせもですと言われたらそれで安心できる。直ぐに病院で診て貰った方が良い」と言われた。だが7月6日は日曜日。大半の病院は休診の筈。すると妻がパソコンを開き、休日でも診て貰える病院を探し始めた。人任せにしておくわけにもいかない。私もスマホで病院の検索を始めた。ご近所の西東京やぎさわクリニックは日曜日も終日診療していることに気づいた。しかも一般皮膚科も掲げていた。この病院は定期健康診断で「要精密検査」となったとき、何度か診て貰ったことがある。自宅から近いし、知っている病院だったので、重い腰をあげて行くことにした。猛烈に暑いからと、妻が車で送ってくれた。
【午前10時ころ】
診察室で先生にブツブツを発見した経過を説明し、患部を見せた。「おっ、それは帯状疱疹っぽい。水疱を針で引っ掻いて中の液体を採取し、直ぐに検査しよう」と先生。チクッ、チクッと針を水疱が潰されるのを見ているうちに、液体の採取が終わった。15分くらい待って再び診察室に呼ばれた。椅子に座るなり、「アウトです!正真正銘の帯状疱疹。検査キットが陽性を示しています」と言いながら陽性の棒が立っている様を見せてくれた。そして先生が言った。「発疹の発見から僅か数時間で受診する患者さんは非常に稀。普通はもっと酷くなってから受診する。帯状疱疹を疑い、直ぐに病院に行けと言ってくれた奥さんの超ファインプレー。帰ったらお礼を言っておいてください」と言われた。そう言われる前に、自分でもうちの母ちゃんのお陰だ、感謝しようと思った。診察室を出るとき、「飲み会の予定が2つ入っている。出ない方が良いでしょうか」と先生に尋ねた。「疲労が溜まり、抵抗力が落ちているから帯状疱疹を発症した。どうしても抜けられない飲み会なら仕方ない。できるだけ飲まないようにして早く帰宅する。そうでない飲み会であれば欠席した方が良い。まずは身体を十分に休めること」と言われた。
【午前10時30分ころ】
院外薬局で3種類の薬を買った。1つ目は抗ウイルス剤(1日3回×7日間)、2つ目は神経の後遺症を防ぐ薬(1日2回×7日間)、3つ目は頓服の鎮痛剤カロナール(10回分)。薬剤師さんから、「途中で良くなったとしても、必ず2種類の薬は7日間服用せよ」と何度も釘を刺された。きっと、指示に従わないワガママなオヤジに見えたのだろう。
【午前11時】
帰宅するや否や、最初の抗ウイルス剤を服用した。以後、7日間にわたり、珍しく一度も忘れることなく、鎮痛剤以外の2種類の薬の服用を続けた。治療開始が早かったため、ブツブツは増えず、患部も広がらず、ヒリヒリした痛みも少しずつ軽くなり、6日目ころにはブツブツが黒ずんで枯れてきた。なお、2つの飲み会は欠席した。
【そして7月15日の今日】
黒くなってはいるが、まだ右腰にはブツブツがそのままある。何もしなければ何も感じない。押さえると軽いヒリヒリ感が残っている。だが先生によると、「抗ウイルス剤の服用でウイルスの活動は抑制された。7日を超えて服用する必要はない。身体を休めながら、あとは自然回復に委ねることになる」とのこと。発症から一度も鎮痛剤を服用することもなく、このまま完治してくれそうな気配である。
【最後に~帯状疱疹の特徴=】
① 過去に水ぼうそうに罹ったことがある。
② 仕事などで身体が疲れており、免疫力が落ちている(酷暑が続くと、免疫力が落ちる人も増えるだろう)。
③ 身体のどこか(人によって発症する場所はまちまちだそうだ)、片側だけに、いきなりヒリヒリするブツブツが現れる(ブツブツは狭い範囲で赤く炎症)。
④ ネット情報では「神経に沿って」と言うが、素人は身体のどこに神経が走っているのか知らない。言われてみると「帯状かもしれない」と思う程度。
⑤ あせもの集団かな?とも思う。しかし、帯状疱疹のブツブツは急に現れ、発疹の盛り上がりが大きめで、よく見ると水疱も混じっている。
⑥ チャドクガにやられたかな?とも思う。しかし、ヒリヒリ感が大きく、ブツブツの痒みは小さい。猛烈な痒みのあるチャドクガ皮膚炎とは違う。
⑦ 私の場合、ブツブツが現れた面積は10㎝×2㎝とごく狭い(帯状疱疹に罹る前、罹ったときはもっと広範囲に発疹が現れるものだと勝手に思っていた)。
①から⑦のような症状が現れた方。
もしかしたら、噂の帯状疱疹かもしれない。
病院で診て貰い、「単なるあせもです」と言われたら、それはそれでエエじゃないか!帯状疱疹ではなく、ラッキーだったと思えば良い。
早く見つけて、早く治療を開始すること!治療が遅れて酷くなり、強い神経症状を伴う後遺症至ってしまった場合・・・、QOLを落とすことにもなりかねない。
酷暑に見舞われている日本列島、帯状疱疹に見舞われる方も増えてくると思う。
このブログを参考にし、これは帯状疱疹かもと思ったときには直ぐ皮膚科を受診していただきたい。
